【利益操作①】―(アグレッシブ会計と保守主義会計の理解)

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会計操作って複雑だよね。

 

初めに

 

会計って難しい。

なんで難しいか考えてみたんだけど、その答えは「会計が完璧じゃないから」なんだと思う。

 

というわけで、会計の不完全さを自分なりにまとめる連載を書こうと思った。

今日は1回目として、アグレッシブ会計と保守主義会計の理解を目指す。

 

簡単に言えば、「資産を費用に計上」したり、逆に「費用を試算に計上」したらどうなるのってお話。

簿記3級くらいの知識があればラクに理解できると思う。

でも簿記の知識なくても理解できるように頑張る。

 

この連載を読むと、会計にちょっとだけ詳しくなって、「会計」が、そして「利益」ってワードがどれだけ不完全なのか理解できる。たぶん。

あと会計関連のニュースとか理解できるようになる。たぶん。

と同時に、無味乾燥に思われる会計に少しだけ艶が出てくるといいな。

 

記事タイトルに利益操作って書いちゃったけど、本格的に利益操作の説明に入るのはもう少しあと。

今日はイントロダクションってことで。

 

 

目的

 

この記事では、「アグレッシブ会計」と「保守主義会計」の理解を目指す。

続いて、「クッキージャーリザーブ」、「R&Dの資産計上、費用計上」なんかもお話しできればなと思う。

 

 

完全な会計

 

まずは完全な会計から。

簡単な例として、以下の条件を設定する。

 

・期間5年

・第1期~第4期頭に100万円の初期投資(キャッシュ)

・投資は次の期にのみ180万円の売り上げが発生する(キャッシュ)

・売り上げるために毎期60万円の営業費用が発生

・投資は次の期に全部償却

 

簿記や会計学の知識がなく、「これ意味が分かんない!」って方は下のカッコ読んでください。

理解できる方は飛ばしてオッケー。

 

「「投資」っていうのは、お金を儲けるのに必要な「資産」のこと。

商品かもしれないしビルかもしれないけど、ここでは「ぬいぐるみ自動製造マシーン」にしよう。

100万円で機械を買って、ぬいぐるみを作って、180万円で次の年全部売る。

ただ、人件費とか、広告費とかで60万円の費用がかかる。

「初年度-100次年度+180費用-60」で、n年目の投資は、n+1年目は20万円になるってわけ。

ここでのポイントは、これがキャッシュベースでのお話ってこと。

 

次に、利益、費用ベースで考えてみよう。

キーワードは、「資産の費用化」

お金を生むための機械は、買ったその日に全部費用にしちゃだめ。

いったん資産にしてから、後に費用にする。これを「減価償却」と呼ぶ。

なんでそんなことをするのかっていうと、お金を生み出すのに使った「費用」と、「利益」が同じ期に発生したと考えたいから。

こうすることで、費用、利益で考えるとn+1年目に「売り上げ+180費用-60費用-100」って計算になる。」

 

はい。

条件から、簡易財務諸表を作る。

 

  1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
資産計上された投資現価 100 100 100 100 0
資産計上された営業費 0 0 0 0 0
           
貸借対照表          
資産(=株主資本) 100 100 100 100 0
           
損益計算書          
売り上げ   180 180 180 180
営業費   60 60 60 60
償却費   100 100 100 100
投資支出   0 0 0 0
営業利益   20 20 20 20
株主資本利益率(ROE)   20% 20% 20% 20%

 

 

これが完全な会計。

資産は1~4年に毎年計上される。

負債とかは考えないので、資産=株主資本だ。

損益計算書では、2期から5期に売り上げと営業費が発生し、前年度の資産を償却する。

「株主資本利益率」とは営業利益を前期の資産で割ったもので、毎年20%になる。

 

 

アグレッシブ会計

 

アグレッシブ会計の定義は、「資産の過大計上、または負債の過少計上による、純資産の過大計上」である。

 

するとどうなるか、アグレッシブ会計を行った簡易財務諸表を見てみよう。

 

  1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
資産計上された投資現価 100 100 100 100 0
資産計上された営業費 0 0 30 0 0
           
貸借対照表 100 100 130 100 0
資産(=株主資本)          
           
損益計算書          
売り上げ 0 180 180 180 180
営業費 0 60 30 60 60
償却費 0 100 100 130 100
投資支出 0 0 0 0 0
営業利益 0 20 50 -10 20
株主資本利益率(ROE)   20% 50% -7.7% 20%

 

完全な会計との違いは、こちらが「第3期に、本来であれば全額費用計上しなければいけない営業費を、一部資産計上している」ところだ。→「資産の過大計上」

 

第3期を見てほしい。資産が30万円過大に、また費用が少なくなったため、営業利益も30万円過大計上されている。

株主資本利益率は「当期営業利益÷前期資産(=50÷100)で50%だ。

 

 

第4期では、前期30万円分過大に計上した資産を償却する必要があるため、償却費が130万円必要だ。

その結果、営業利益がマイナスになり株主資本利益率も(-10÷130=-7.7%)になっている。

 

詳しくはまた今度書くけど、例えばある一定の利益目標を達成したい場合、経営者はアグレッシブ会計を行うかもしれない。

 

 

保守主義会計

 

保守主義会計の定義はアグレッシブ会計の逆。

つまり、「資産の過少計上、または負債の過大計上による、純資産の過少計上」である。

 

  1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
資産計上された投資現価 100 100 75 100 0
資産計上された営業費 0 0 0 0 0
           
貸借対照表          
資産(=株主資本) 100 100 75 100 0
           
損益計算書          
売り上げ 0 180 180 180 180
営業費 0 60 60 60 60
償却費 0 100 100 75 100
投資支出 0 0 25 0 0
営業利益 0 20 -5 45 20
株主資本利益率 0 20% -5% 60% 20%

 

こちらは「第3期に、資産として計上すべき初期投資を、一部投資支出として計上」している。→資産の過少計上

「いったん資産にしたあと減価償却」っていうルールが守られていないよね。

 

その結果として、3期目には費用の過大計上されているので営業利益が過少になり、株主資本利益率は(=-5÷100)で-5%だ。

4期目では、前期資産が75万円なので償却費も75万円と少なくなり、営業利益が過大計上されている。株主資本利益率は(=45÷75)で60%だ。

 

保守主義会計を行った期では営業利益が過少に計上され、反転する期では過大に評価されるってわけだ。

 
とりあえず、アグレッシブ会計と保守主義会計についての説明は終わり。

 

終わりに

 

あ~~~つかれた。

1000文字くらいでささーっと書き上げるつもりが、3000文字近い長さになってしまった。

しかも、冒頭で述べたクッキージャーリザーブとかR&Dって単語が本文では登場しなかった。

まあ似たようなもんだからいいか。

 

 

アグレッシブ会計と保守主義会計にしても、この記事では書ききれなかった。

この記事では5期だったけど、「企業は半永久的に続く」って考えるのでもう少しだけ複雑になる。

 

それらは今度書くかもしれないし、とばすかもしれない。

いや、この連載が1回で終わるかもしれない。

 

 

気分次第ってことで。

 

参考文献

この記事は、以下の書籍を参考に作成しました。

『企業価値評価―evalによる財務分析と評価』ラッセル・ランドホルム/リチャード・スローン著

 

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