現実と数式は全く異なるものだった。

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前回の記事の続き。

 

自分の頭の中を整理して、書き直しました。

 

 

以下の文章問題について考えてください。

 

「A君は、2㎞歩きました。休憩した後、3㎞歩きました。A君は合わせて何㎞歩きましたか。」

「1冊1000円の本を3冊買いました。料金は合わせていくらですか。」

 

 

生徒に上の問題を解いてもらうと、うーん、うーん頭を抱えている。

「答えは5㎞。2+3=5だから、5㎞が答えだよ。」

それでも、まだ納得していない様子。

 

足し算がわからないのかな、と考えた私は簡単な足し算の問題を作ってみる。

「リンゴが1個、みかんが1個あります。果物は合わせて何個ですか。」

続けて、ノートにリンゴとみかんの絵を描いて見せる。

「それなら簡単、2個でしょ。」

こっちは正解してくれた。

いいね、それじゃあ次の問題。

「リンゴが7個、みかんが8個あります。果物は合わせて何個ですか。」

すると、こちらは答えを出すことができない。

 

なんでできないのだろうと考えた私は、「さっきの問題はどうやって解いたの?」と尋ねてみた。

「リンゴとみかんの絵を数えた。」と、生徒は答えた。

そうか、ノートにはリンゴとみかんの絵が1個ずつ書いてある。

それを、1個、2個と数えたんだね。

決して1+1という数式を解いたわけではなかったんだ。

リンゴが1個、みかんが1個、合わせて2個と、1+1=2っていうのは全く別のものだったのか。

 

つまづいたポイントはわかったけど、どうやって教えればいいのだろうか。

確かに、数字に置き換えて計算をするというのは、抽象度を極端に上げる行為である。

悩んだ私は、「+っていう記号はね、合計とか、合わせていくつって時に使うんだよ。」という説明に逃げてしまった。

「『リンゴが7個、みかんが8個合わせて何個ですか。』っていう文の中には、『合わせて何個』って書いてあるでしょ。こういう時は、+の記号を使うんだ。」

生徒はノートに7+8=15という式を書いてくれた。

まだ少しもやもやが残っている様子だったが、私は次に進んでみることにした。

 

 

「A君は、2㎞歩きました。休憩した後、3㎞歩きました。A君は合わせて何㎞歩きましたか。」

 

2+3=5という式を指さして、「何で2+3になるの。」

話を聞いてみると、長さを足すという感覚がわからないらしい。

そうか、さっきは物の数だったもんね、長さも足すことができるんだよ。

定規で10㎝の線を引き、続けて5㎝の線を引いて長さを測ってもらった。

線の長さはぴったり15㎝だった。

「でも、㎞ってすごく長いですよね。」

確かに。

実際に定規を使って、長さを足すことができるってのはわかったけど、それが想像できない長さになると足せるのかどうかわからなくなるらしい。

まさか家を飛び出て5㎞歩いてみるわけにもいかないしどうしよう。

「長さは足すことができて、文章に『合わせて何㎞』って書いてあるから2+3っていう式を立てることができて、答えは5㎞なんだよ」と、全く説明になっていない説明に終始し、さらにもやもやが積もったまま次の問題に進むことにした。

 

 

「1冊1000円の本を3冊買いました。料金は合わせていくらですか。」

 

生徒はノートに、「1000+3=4000、答え4000円」と書いた。

そうか、『合わせて、合計』って言葉が入っていたら足し算だって教えちゃったもんね、ごめん。

あと、式があっていたとしても、計算を間違えちゃってるよ。

そうか、位を揃えて計算するっていうのを教えてなかったか、ごめんね。

とりあえず、式を立てるところまで進めようと考えた私は、財布から1000円札を3枚取出し、いくらになるか数えてもらった。

「3000円。」

生徒は自信があるようにみえる。

続けて、私はノートに「1000×3=3000」という式を書いた。

「なんで×の記号を使うんですか。」

1000円札3枚で3000円というのはわかったが、それと「1000×3」という式が結びつかないらしい。

「1000円札が3枚なんだから、1000+3になるんじゃないんですか。それに、1冊1000円って書いてあるのに、1という数字はなんで式の中に出てこないんですか。」

 

 

どうやら、1つの問題を解くだけでもまだまだ課題は多いらしい。

よく考えてみると、算数というのは問題文を頭の中で具現化し、それを数式として抽象化する作業である。

私は、いったいどうすれば、概念であったり、数字というものを、彼女に伝えることができるのだろうか。

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