【マインドコントロール】について考えるー『カルト村で生まれました。』を読んでー

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”村”とか”マインドコントロール”のお話。

 

 

はじめに

 

先日、漫画『カルト村で生まれました。(著:高田かや)』を読んだ。

その内容があまりにも骨太で、いろいろと考えさせられた。

 

この記事では、作者高田かやさんが体験した”村”での生活について、続いて”マインドコントロール”について書いていきたい。

 

 

村(コミューン)での生活

 

まずは、漫画の中で描かれている「村」での生活についてレビュー。

村は全国に30か所ほどあり、村人たちが農業を基盤とした生活を営んでいる。

そこでは、「食事は1日2食」「実の親とは離れて暮らす」といった、一般の私たちからすれば奇妙なルールが存在している。

どれも興味深いものであり、後に述べる「マインドコントロール」と密接に関係していると考える。

それらを順に紹介する。

 

 

親と離れて集団で暮らす

村では生みの親とその子どもが離れ離れで生活している。

親子は別々の村で暮らしており、会うことが許されるのは年に数回のみだ。

世話係と呼ばれる大人が子どもたちの親の代わりとなり面倒を見る。

 

漫画では、「親に会いたくても会えない」ことへの、子どもならもって当然の葛藤が描かれている。

 

 

食事は1日2回

村では食事が1日2回に制限されている。

「お昼は腹八分目、夜は一二分に食べる」が方針のようだ。

 

しかし、「世話係の気分によって」食事を与えられないなど、虐待とも思える行為が行われている。

満足に食事をとることができず、その空腹のために倒れてしまう子ども達が多くいる。

 

「1つの飴をみんなで順番になめる」1コマが印象的だった。

 

 

体罰

村では世話係による体罰が常習的に行われている(村、世話係によってその程度は異なる)。

その体罰の中でも私が取り上げたいのは「閉じ込める」である。

 

漫画ではかやが物置に閉じ込められ、「見せしめ」にされている様子が描かれている。

この、「理由も告げず一定期間外界との接触を禁止する」というのは、(世話係が意図していないとしても、)マインドコントロールといえるのではないか。

その対象が子どもともなれば、精神的な負担はさらに大きくなる。

 

 

共有

村では「個人の資産を所有すること」が禁止されている。

それが村の理念であり、「一般」から村に入村する者は、「その一切の財産を村へと寄付」しなくてはならない。

例えば洋服などは、「衣裳部屋」と呼ばれる倉庫から各人に服が割り当てられ、それを着用することとなる。

 

この共産主義的な思想は、村の大きな特徴の1つだと考える。

 

作者の祖母は”一般”の人間でありよく小包を送ってくれるのだが、それを「みんなで平等に」分けていたのが印象的であった。

 

 

労働

村では「無給の労働」が課せられている。

「自給自足」を理念に掲げた、農業、畜産業を基盤としたコミューンであり、子どもも例外ではない。

朝の5時に起床し、動物の世話をしたのち小学校へ投稿する様子が描かれている。

 

中学を卒業すると一般の高校へ進学することはできず、村で労働に従事することとなる(この村が問題視される要因の1つであり、後にいくらか緩やかになったようである)。

 

 

恋愛

村では「結婚相手が大人同士の話し合い」によって決まる。

「勤勉な男性」には結婚する資格が与えられ、決められた女性と結婚する。

女性は二十歳前後に10歳ほど離れた男性と結婚する例が多く、これを拒むものはほとんどいないようである。

「自由に結婚相手を選ぶ」ことはできないのである。

 

 

作者の村への愛

 

私がこの漫画で興味深かったのは(同時に恐怖を感じた)、その随所から感じる作者の「村への愛」である。

四季への感性、動植物の知識、同年代との友人とのかけがえのない時間、それらすべては間違いなく村の生活によってもたらされたものである。

 

空腹で倒れそうなことも(実際に倒れている)、両親に会えず辛い思いをした時も、世話係による理不尽な仕打ちに悩んだことも描かれている。

それら全てをひっくるめ、(心のどこかでは「何かおかしい」と思いながらも)、村での思い出が美化されているように私には思える。

そして、現在の作者は精神的にも成熟し、尖った思想のない「いたって普通の」生活を送っている。

 

これは完全に私の主観であるが、作者は間違いなく「村に対しての愛情」を持っている。

私はそれを恐ろしく感じる。

 

 

マインドコントロールについて考える

 

続いて、「マインドコントロール」について考察する。

 

 

マインドコントロールの定義

他人の思想や情報をコントロールし、個人が意思決定する際に、特定の結論へと誘導する技術

(wikipediaより引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB)

 

以上がマインドコントロールの定義である。

定義を確認したところで、村ではどのようなことが行われていたか書いていく。

 

 

個別ミーティング

一人だけ隔離され、世話係と一対一の対話を強制させられる。

「特に理由もなく」個別ミーティングに呼ばれると、「世話係が望むような返答」をしなければ元の生活に戻ることはできない。

 

これが長いときで1週間以上続く。

 

 

日記

村には毎晩日記を書く決まりがある。

子どもが日記を書き、大人が添削し、そののちに返却される。

大人が「これは」と思った箇所には赤ペンで印をつけ、廊下に張り出され、村の機関誌に掲載される。

よって、子どもたちは「大人が望みそうな内容の日記」を書くことになる。

 

 

村の大人は何を考えているか

 

今まで「村の習慣」や「マインドコントロールと思われる行為」について書いてきた。

さて、ここで1つの疑問が浮かび上がってくる。

 

世話係をはじめとした村の大人は、何を考えているのだろうか。

具体的に言うと、「大人は意図的に子ども達をマインドコントロールしよう」と考えているのだろうか。

 

私が漫画を読んだ限り、そうとは思えない。

大人たちは決して、「子どもの心を操作しよう」などとは考えていない。

むしろ、「子ども達が健全に成長するよう」心から応援しているようにさえ思える(それゆえに、先ほど述べたように作者は村を特別に思っているのだろう)。

 

村には「理念」が存在する。

そしてその理念に沿って大人達は子ども達を「教育」している。

それこそがマインドコントロールの正体であり、この漫画全体を「不気味なモノ」だと思わせる元凶だと私は考える。

 

 

村の理念

 

私有財産の排除

先ほども書いたが、村では個人の所有物を持つことは禁止されている。

皆が同じものを食べ、同じところで生活する。

「支配欲」の存在を許さないのである。

 

 

お金が要らない

村ではお金が要らない。

「村人全体が一体」のコミューンであるため、村人同士のお金による取引は存在しない。

 

全員で自分たちが生活できるだけの農業、畜産業を営む。

よって給料もないし、己の自己研磨によってのみ生きがいを感じるのである。

 

 

考えること辞めた堕落した人間

 

以上より、どんなことが導き出されるだろう。

それは、この村での生活は堕落した人間を生み出すというものである。

 

この村での生活は一見豊かにも見える。

人々が労働し、それをみんなで分け生活する。

何も所有せず、自然の中で各人の自由に生活できる。

 

しかし、それは決して楽園などではない。

この理念がもたらすものは、本当の意味での自由ではない。

欲や自我を失った、堕落した人間だと私は考える。

 

 

資本主義

人は、自分で生きていかねばならない。

そのために労働するのである。

そして、それを賃金という形で受け取る。

その人のかけがえのない能力と、努力によって生産し、その代価として賃金を受け取るのである。

 

「生産したものをみんなで仲良く分けましょう」とか、「モノはみんなのものなので、所有することはダメです」などといった社会は決して許してはいけない。

 

以上で終わります。

 

 

あとがき

 

この記事を書いていて、マインドコントロールについて気になることがあった。

それは、「意図することなくマインドコントロールを行っている」可能性があるのではないか、ということだ。

すごく身近な例を挙げると、親による「〇〇の番組を見てはいけません。」などだ。

他にも私たちが使っている携帯でのマーケティングなども、一種のマインドコントロールととらえることができる。

 

今普通だと思っている私たちの生活は、100年後の日本人から見ると「カルト」だと思われるかもしれない。

 

 

この記事を書くのに参考にした資料

・ヤマギシズム社会実顕地:http://www.yamagishi.or.jp/

・Wikipedia,幸福会ヤマギシ会:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E4%BC%9A%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%82%AE%E3%82%B7%E4%BC%9A#.E3.83.88.E3.83.A9.E3.83.96.E3.83.AB.E3.83.BB.E4.BA.8B.E4.BB.B6

・Wikipedia,マインドコントロール:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AB

・『カルト村で生まれました。(著:高田かや)』

・『さよなら、カルト村。(著:高田かや)』

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